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離婚後の住宅ローン・自宅はどうなる?ケース別の返済方法や起きやすい問題と対応策について解説
離婚を考える際に気になるのが、夫婦で購入したマイホームの処分についてではないでしょうか。
特に住宅ローンがまだ残っている場合は、ケースによって様々な対応が必要です。
この記事では
・住宅ローンが残っていても離婚は可能か
・離婚時の住宅ローンについて把握しておきたい4つのこと
・よくある問題と対策
等を解説していきます。
住宅ローン残債があっても離婚はできる
住宅ローンの残債が残っていても離婚はできます。
「財産分与」が難しいイメージから、住宅ローンの残債があると離婚ができないと勘違いしてしまいがちですが、実際には離婚と住宅ローンは法律上無関係です。
では離婚後は、残った住宅ローンを誰が支払うのかについて見ていきます。
残った住宅ローンの支払い義務は住宅ローンの名義人にある
離婚後に残った住宅ローンの支払い義務は住宅ローンの名義人にあります。
離婚後、家には誰が住むのか、売却するのか、等処理の方法によって異なるものの、あくまで金融機関への返済義務は住宅ローンの名義人にあるというのが原則です。
ちなみに、不動産の名義と住宅ローンの名義は厳密には意味が異なるので、通常は一致するものの念の為どちらも調べておく必要があります。
あくまで支払い義務は”住宅ローン”名義人にあると覚えておきましょう。
住宅ローンに関する名義人3つ
住宅ローンに関して、
・不動産名義人
・住宅ローン名義人
・連帯債務者
と、3つの名義人が関係します。
ここでは各名義人の違いを紹介していきます。
・住宅ローンに関する名義人①不動産の名義人
不動産の名義人は、土地・建物の所有者を指します。
先述の通り、住宅ローンの名義人と土地・建物の所有者は、ほとんどの場合同一人物ですが、不動産の名義人はあくまで不動産の権利を有し、処分する権利を持つという意味合いです。
不動産の名義人は、法務局で登記簿謄本を取得し、権利部(甲区)で確認できます。
また、名義人は1人とは限りません。
例えば
・夫婦どちらかが単独名義で購入している場合:購入者が不動産の名義人
・夫婦共有名義で購入している場合:夫婦が不動産の名義人(それぞれの持ち分も登記簿謄本に記載)
・妻の父の土地に夫名義で家を建てた場合:土地は妻の父が名義人、建物は夫が名義人
というように、共有であったり、土地と建物で名義人が異なる場合があります。
離婚と不動産の権利や住宅ローンは、法律上は無関係ですので、離婚しても不動産の名義人が勝手に変わることはありません。
・住宅ローンに関する名義人②住宅ローンの名義人
住宅ローンの名義人は住宅ローンを借りる際に、銀行と金銭消費貸借契約を結んだ人を指します。
先述の通り、住宅ローンの返済義務者は不動産の名義人ではなく、住宅ローンの名義人に義務付けられています。
住宅ローンの名義人に関しては、不動産の名義人と同様に法務局で取得できる登記簿謄本の権利部(乙区)から確認できます。
不動産の名義人と同様に離婚によって、自動で変わるようなことはありません。
・住宅ローンに関する名義人③連帯債務者
連帯債務者とは、借入金額に対して複数の者が連帯して債務を負うことを言います。
ご夫婦で連帯債務者となって住宅ローンを利用する場合、どちらか1人が主債務者となり、もう一人が連帯債務者となります。
「主債務者」及び「連帯債務者」は同等の責任を負います。
また、任意売却の場合は、以上3つの名義人全員からの同意が必要です。
離婚時に住宅ローンの名義変更・借り換えをする方法
離婚時に住宅ローンの名義を変更する条件と、他の金融機関に住宅ローンを借り換える方法についても確認していきましょう。
名義変更は条件次第で可能
基本的に住宅ローン返済中の名義変更は難しいですが、離婚のケースでは認められる場合があります。
この場合、通常の審査を経て返済能力があると金融機関に認めてもらう必要があります。
つまり、新しい名義人が「安定した収入があり、返済が可能」と判断されなければ名義変更はできません。
例えば、新しい名義人が妻で専業主婦だったというようなケースでは、名義変更は難しいでしょう。
また、そもそも名義変更はハードルが高いため、金融機関次第では返済能力がある場合でも、拒否されてしまう可能性もございます。
住宅ローンを借り換えする方法
名義変更が難しい場合、住宅ローンの借り換えで対処するケースがあります。
住宅ローンの借り換えとは、他の金融機関を利用して新たに借入れて現在の住宅ローンを完済することです。
この際に、新しい名義人が住宅ローンを借り、現在の住宅ローンを返済することで、実質的な名義変更もできます。
ただし、名義変更の場合と同様に与信審査などがあり、返済能力が認められなければ新たに住宅ローンを借りることはできず、借り換えもできません。
住宅ローンは財産分与の対象外
住宅ローンはオーバーローン(住宅ローンの残額が売却価格を上回る状態)の場合は負債とみなされ、財産分与の対象になりません。
財産分与とは、共同生活の中で築いてきた財産を公平に分配することを目的に行われる手続きのことです。
売却価格が住宅ローンを上回る場合(アンダーローン)は、売却代金から住宅ローンを差し引いた金額が財産分与の対象となりますが、売却しても住宅ローンが残ってしまった場合(オーバーローン)は、財産分与の対象外です。
ケース別の住宅ローン処理方法について後ほど詳しく解説しますので、詳細はそちらをご覧ください。
また、財産分与の期限は離婚成立から2年間です。
離婚の際に、取り決めを交わしておくと良いでしょう。
養育費と相殺できるパターンがある
もちろんケースバイケースですが、不動産に住宅ローンの名義人ではない妻と子供が離婚後も住み続けるようなケースでは、住宅ローンの名義人である夫が住宅ローン返済を続けることで、養育費支払いの義務と相殺できる可能性があります。
ただし、「夫側が再婚等の理由から住宅ローンの返済が止まってしまう」等の可能性もございますので、住宅ローンを完済するまでは注意が必要です。
住宅ローンの残額について
「オーバーローン」「アンダーローン」という単語が出てきましたが、住宅ローンの残額を確認し、かつ不動産の市場価格がわからなければ、状況は把握できません。
売却方法が競売の場合、不動産価格は一般売却や任意売却の6〜7割ほどになってしまいます。
オーバーローンなのか、アンダーローンなのかによって大きくその後の対応が変わりますので、まずは正しい査定と任意売却にも対応できるプロの不動産業者に、早期の段階で相談されると良いでしょう。
【離婚】住宅ローンについてまず把握しておきたい4つのこと
ここまでの前提を踏まえた上で、離婚時に把握しておきたい以下4点について解説します。
・各種名義
・不動産の価格
・住宅ローンの残額・契約内容
・アンダーローンかオーバーローンか?
これらを確認した上で、売却活動を開始します。
①各種名義
不動産の名義人が誰か、共有の場合はどういった持ち分かを把握しておきましょう。
不動産の名義人、住宅ローンの名義人、連帯債務者は法務局にて登記簿謄本を取得することで確認できます。
土地と建物は登記簿が別ですので、それぞれ取得することを覚えておきましょう。
また、任意売却する場合は不動産の名義人・住宅ローンの名義人・連帯債務者、全員の同意が必要となります。
②不動産の価格
アンダーローンか、オーバーローンか把握するために、売却する場合でも住み続ける場合でも大体の不動産の価格を把握しておきましょう。
不動産会社に査定を頼むことになりますが、一括査定に出すと不動産業者が次々電話・訪問してきて大変です。
アンダーローンだった場合に任意売却にも対応できる任意売却専門の不動産業者に査定をお願いしましょう。
③住宅ローンの残額・契約内容
住宅ローンの残額や契約内容を把握しましょう。
残債の確認は、
・住宅ローンを組んだ金融機関のサイト
・残高証明書
・返済予定表
などで確認が可能です。
また、詳しい住宅ローンの内容については、
・住宅ローンを組んだ金融機関のサイト
・住宅ローンを組んだ金融機関の窓口
・返済予定表
で確認できます。
④アンダーローンかオーバーローンか
査定金額から住宅ローン残債を差し引くことでアンダーローンになるかオーバーローンになるか確認しましょう。
【ケース別】住宅ローン4つの処理方法
以下の4つが離婚後に住宅ローンを処理する主な方法です。
・離婚後に住宅ローン名義人が住む
・離婚後に住宅ローン非名義人が住む
・売却する(アンダーローン)
・売却する(オーバーローン)
それぞれのケースについて解説していきます。
ケース①離婚後に住宅ローン名義人が住む
離婚後に住宅ローン名義人が住む場合は、名義人と居住者が一致しており「自分の居住費を自分で払っている」という状態ですので問題が最も起こりづらいケースです。
ただし、住宅ローン非名義人が連帯保証人に組み込まれている場合は対策が必要です。
将来住宅ローンの名義人の支払いが止まると、住んでもいない家の住宅ローンを連帯保証人として請求されてしまうことになりかねません。
対策として、離婚時に連帯保証を外す、もしくは変更してもらうようにしてください。
ケース②離婚後に住宅ローン非名義人が住む
離婚後に住宅ローン非名義人が住み続け、住宅ローンは名義人が払うケースです。
このケースが最も問題が起こりやすいと言えます。
起きうる問題と対策については後ほど詳しく解説します。
非名義人が妻と子供だった場合に、学校や生活環境を変えずに済む点が最大の利点です。
先程紹介した養育費の一部・または全部を養育費と相殺するケース等が一般的ですが、非名義人が名義人に家賃を支払うことで住み続ける方法もあります。
ケース③売却する(アンダーローン)
離婚時に売却するケースで、アンダーローンの場合は一般売却で住宅ローンを完済できるため問題ありません。
売買で得た資金は、財産分与の対象になる可能性がございます。
ケース④売却する(オーバーローン)
離婚時に自宅を売却したいが、「売却してもオーバーローンになり抵当権が抹消できない」というようなケースの場合、住宅ローン残債の不足分を自己資金で補って完済する方法があります。
自己資金による残債不足分の補填が難しい場合は、債権者である金融機関や各名義人の合意のうえで「任意売却」という手続きにより自宅を売却できます。
ちなみに住宅ローンの滞納が続いてしまうと、強制的に自宅を売却され「競売」になります。
競売は「市場価格の6〜7割ほどでしか売却できない」「プライバシーが守られづらい」「自分の意思に関係なく売却される」など様々なデメリットがあり、一般売却や任意売却と比べて残債も大きく残ってしまう可能性がございます。
離婚に伴って住宅ローンの支払いが継続できないと判断した場合は、すぐに金融機関及び任意売却の専門不動産業者にご相談下さい。
離婚時の住宅ローンについてよくある4つの問題と対策
離婚の際に、住宅ローンにまつわる起きてしまいがちな問題を4つまとめました。
各問題に対する対策も紹介しているので、将来的に関係しそうな項目の対策は講じておきましょう。
よくある問題①住宅ローンの支払いが滞る
最もよくある問題は「住宅ローンの支払いが滞る」ことです。
特に、非名義人が自宅に残り、別で生活している住宅ローンの名義人が住宅ローンを返済し続けるようなケースでよく見られます。
初めの内は返済を継続していても、住宅ローンの名義人が再婚するなど、環境が変化することで住宅ローンの支払いが滞ると、自宅を差し押さえられ強制退去せざるを得ななくなる場合がございます。
また、住宅ローンの名義人から支払いをしていない旨の連絡があるとは限りません。
対策:離婚協議書の作成
離婚時に「離婚協議書」を作成することで対策できます。
離婚協議書は離婚時の話し合いや約束事を、弁護士の立ち会いのもと公的に記録・保存しておける文書です。
話し合いの段階で円満でも、将来の環境変化や心理が変わる場合もございます。
問題を未然に防ぐ意味でも作成しておきましょう。
よくある問題②家を売却されてしまう
不動産を処分する権利は不動産の名義人にあります。
非名義人が住み続ける中で、急に家が売却され出ていかざるを得なくなるという問題も起き得ます。
事前に相談があれば準備もできますが、突然の環境変化や子供の転校という事態はできれば避けたいものですね。
対策:離婚協議書の作成
離婚時に名義変更し、不動産の名義人になっておくのが最も良い対策です。
しかし、現実的には先述の通り難しい為、こちらも離婚協議書内に「所有権を無断で手放さない旨」「非名義人側の許可が必要な旨」を記載しておきましょう。
よくある問題③連帯保証人として支払い義務が生じる
住宅ローンを返済できなければ、金融機関から連帯保証人に請求が来ます。
両者がそのまま支払わない場合は、自宅が競売になってしまいます。
対策:連帯保証人から外れる
離婚時に連帯保証人から外れておきましょう。
方法として、名義人の親族などから新しい保証人を立てる方法や借り換えをする方法があります。
難しい場合は、こちらも離婚協議書を作成する。あるいは、公証人立会いのもと「公正証書」の作成をすることで対策できます。
よくある問題④使用期限を超過しても退去してもらえない
非名義人に名義人が自宅の一定期間の使用を認める場合があります。
子供の転校を避けるための手段として、あるいは突然の離婚だった場合に、専業主婦だった妻側が急には新居を用意できない等の理由でよく見られるケースです。
使用期限に関してあらかじめ決めておいても、口約束だった場合などに期限を過ぎても退去してもらえないリスクがあります。
対策:離婚協議書の作成
こちらも離婚協議書に一定期間の使用を認める旨および、期限を明記することが対策になります。
早い段階で任意売却の決断を!
住み慣れた家を売却するというのは心苦しいこともあると思いますが、住宅ローン等の借金が膨らむ前に相談することが重要です。
競売になってからでは、任意売却ができる時間も狭まり、売却機会を失ってしまうリスクが高まります。
明誠商事では、実際の任意売却手続きだけでなく売却後の引っ越し先の提案や引っ越し費用などの交渉を、最後までトータルにサポートしています。
任意売却後に残ってしまった住宅ローンも、債務整理が必要であれば弁護士をご紹介します。
これらは明誠商事が長年に渡って任意売却を成功させ、弁護士との信頼関係を築いたからこそ成せる事であり、一般の不動産会社ではそこまで任意売却の経験や弁護士との連携がないので難しいのが実情です。
このように、実際の手続きや交渉、依頼者へのアフターケアなど専門性を活かした様々な対応が可能です。
できるだけ早い段階で任意売却の決断をされた方が、任意売却後の生活に関して時間もお金もゆとりを持てますので、まずは気軽にご相談ください。